【実体験】車上生活に至った元会社員のケース|福祉現場で見たメンタル不調の現実(2023/12/27)
■ 福祉の現場から見えたこと ― 社労士としての気づき
福祉の窓口で相談を受けていると、さまざまな人生に出会います。
その中で感じるのは、「もっと早く支援につながっていれば」という思いです。
今回は、ある相談者のケースを通じて、社労士として感じたことを書きたいと思います。
(※実際の相談をもとに内容を一部加工しています)
■ 事例:車上生活に至ったAさん
ある日、1年以上にわたり車上生活をしていたAさんが相談に来られました。
Aさんは、コンビニで食料品を万引きし、逮捕された直後でした。
幸い初犯であったため不起訴となり、20日間の拘留後、釈放。その足で生活保護の相談に来られたのです。
■ 「普通の生活」からの転落
Aさんは、かつて30年以上にわたり大手自動車関連会社に勤務していました。
- 結婚し、子どもにも恵まれ
- マイホームを所有し
- 安定した生活を送っていた
いわゆる「普通の家庭」です。
しかし数年前、精神的な不調をきっかけに退職。
その後、医療機関を受診することもなく、自宅で過ごす日々が続きました。
やがて家族との関係が悪化し、離婚。
住宅を売却し、手元に残った資金でホテル生活を始めます。
しかし、徐々に気力が低下し、
- 住居を借りることもできず
- 就労に向けた行動も起こせず
- ただ時間だけが過ぎていく
そして資金が尽き、車上生活へ。
最終的に、空腹に耐えきれず万引きに至ったのです。
■ 「強い父親」を演じ続けた結果
お話を伺う中で、Aさんは何度も涙を流していました。
「強い父親でいなければならなかった」
その思いが、自分の弱さを誰にも見せられない状況を作っていたように感じました。
■ 支援につながった後
Aさんは生活保護を申請し、現在は宿泊施設で生活を立て直しています。
また、医療機関の受診も勧め、今後の回復に向けた支援が始まりました。
■ 社労士として感じたこと
このケースを通じて、強く感じたことがあります。
それは、
👉 「もっと早く気づけなかったのか」
という点です。
- 長年勤務していた社員が突然退職したとき
- 周囲は異変に気づけなかったのか
- メンタルヘルスのチェック体制は機能していたのか
また、
- 医療機関の受診を促すこと
- 産業医との連携
- 相談しやすい職場環境
こうした仕組みがあれば、結果は違っていた可能性もあります。
■ 企業に求められる視点
メンタル不調への対応は非常にデリケートな問題です。
しかし同時に、
👉 対応しなければ深刻な結果につながる問題でもあります。
そのため企業には、
- 早期発見の仕組み
- 医療につなぐ導線
- 就業規則等での対応ルール整備
といった「仕組みづくり」が求められます。
■ これは“個人の問題”ではない
このケースは、一見すると個人の問題のように見えます。
しかし実際には、
- 職場
- 家庭
- 社会
さまざまな要因が重なった結果です。
■ BHR(ビジネスと人権)の視点から
このような問題は、ビジネスと人権(BHR)の観点からも重要です。
従業員の健康や尊厳を守ることは、企業の責任の一つです。
メンタルヘルスへの対応は、
- 労務管理
- 人権配慮
の両面から考えるべきテーマといえます。
■ まとめ ― 気づき
このケースから得られる気づきはシンプルです。
👉 「人は、ある日突然困窮するのではない」
小さな変化が積み重なり、支援につながらないまま進行していくのです。
だからこそ、
- 早く気づくこと
- 早くつなぐこと
が何より重要です。
■ 最後に
福祉の現場にいると、「あと一歩早ければ」と感じる場面に何度も出会います。
社会保険労務士として、
👉 人に優しい企業づくりから、人に優しい社会へ
その実現のために、できることを考え続けていきたいと思います。
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