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派遣先 5割が許可番号確認不足 「無許可撲滅」で点検 滋賀労働局(2025/2/15)

滋賀労働局(多和田治彦局長)は、昨年から展開している「無許可派遣の撲滅に向けた緊急対策」の一環として、派遣先に初めて実施した自主点検の結果を公表した。事業所の半数が労働者派遣契約の締結時に許可証の提示を求めるなど客観的な方法で派遣元の許可番号を確認していなかった。同労働局は今後、製造業を中心とした派遣先への訪問指導を強化する方針。派遣先による労働者派遣違反の有無に加え、許可番号の適切な確認が行われているかどうかを重点的にみていく。

 同労働局管内では近年、無許可事業者による派遣が相次いで発覚しており、令和5年8月と6年2月にそれぞれ1社を刑事告発している。全国でも年間2~3件程度のところ、管内だけで短期間のうちに告発に至る事案が複数発生したことを憂慮していた。いずれの事案でも派遣先が無許可の派遣事業者と気付かずに派遣労働者を受け入れていたため、昨年8月から派遣先を対象とした「無許可派遣の撲滅に向けた緊急対策」を展開。オンラインセミナーの実施や滋賀経済産業協会など関係団体への要請を行ってきた。

 自主点検で「労働者派遣を利用している」と回答した376事業所を対象に、派遣元の許可番号をどのように確認しているかを複数回答で聞いたところ、同労働局が推奨している「現在許可を受けている派遣元を閲覧できる厚生労働省の人材サービス総合サイトを利用」は30.6%だった。「許可証で確認」も19.9%に留まる。一方で、「契約書での確認」もしくは「口頭、名刺などで確認」といった客観的ではない方法で実施しているのは合わせて52.9%に上る。同労働局は、「契約書や名刺はいくらでも偽れる。刑事告発した事案では、派遣先が契約書しかみておらず、実際は許可がないことに気付けなかった」と話した。

 派遣法に関する項目では、違反となる回答の割合が最も高かったのが「正社員の募集を行う際、1年以上受け入れている派遣労働者に募集情報を周知していない」で、36.4%だった。次いで、「毎月1回以上、派遣労働者の氏名や従事した業務などを派遣元に通知していない」35.9%となっている。

 同労働局は今後、管内で労働者派遣の利用が最も盛んな製造業を中心に、派遣先への訪問指導を実施するとした。派遣許可を適切に確認しているかどうかのほか、自主点検で違反となる回答がとくに多かった派遣労働者への募集情報の周知状況などに着目していく。

(以上 労働新聞より)

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