【実体験】傷病手当金を知らず生活保護を検討したケース|人を大切にする企業とは(2024/1/5)
■ 福祉の現場から見た「人を大切にする企業」とは
福祉の窓口で相談を受けていると、さまざまなケースに出会います。
その中で強く感じるのは、「制度があるのに使われていない」という現実です。
今回は、ある相談者のケースを通じて、「人を大切にする企業とは何か」を考えてみたいと思います。
(※実際の相談をもとに内容を一部加工しています)
■ 事例:生活保護を検討していたBさん
ある日、Bさんが不安そうな様子で窓口に来られました。
「生活保護を受けられますか……」
お話を伺うと、Bさんは仕事中に脳卒中を発症し、救急搬送。
約2週間の入院を経て、退院したばかりでした。
- 貯蓄はほとんどない
- 入院費の支払いがある
- 今後の生活に強い不安がある
さらに、会社からは
「補償は何もないよ」
と言われたとのことでした。
■ 本当に支援はなかったのか
詳しく確認すると、
- 就労は継続中
- 健康保険に加入している
- 勤続年数も3年以上
👉つまり
傷病手当金の対象となる可能性が高い状態でした。
■ 傷病手当金という選択肢
傷病手当金は、病気やケガで働けない期間の生活を支える制度です。
一定の条件を満たせば、
- 給与の約2/3相当
- 最長1年6ヶ月
の給付を受けることができます。
私は制度の説明を行い、
- 職場への連絡
- 主治医への相談
- 申請書の準備
についてお伝えしました。
■ 支援につながった結果
Bさんは安心された様子で帰られました。
後日、
「来月から勤務日数を減らしながら復職予定です」
とのことでした。
また、勤務を調整している期間についても、傷病手当金を受給できる可能性があることをお伝えしました。
■ なぜこのようなことが起きるのか
このケースで重要なのは、
👉 制度がなかったのではなく、“知られていなかった”こと
です。
実際の現場では、
- 傷病手当金を知らない本人
- 制度を説明できない企業
- 申請せずに離職してしまうケース
が非常に多く見られます。
■ 社労士として感じたこと
この事例から考えるべきことは明確です。
👉 従業員が困ったときに、適切な制度につなげられるかどうか
これが企業の本質的な価値を左右します。
■ 「人を大切にする企業」とは何か
「人を大切にする企業」とは、
単に福利厚生が充実している企業ではありません。
- 従業員の異変に気づける
- 必要な制度につなげられる
- 回復を前提とした支援ができる
👉こうした“対応力”を持つ企業です。
■ 企業が取るべき実務対応
企業としては、以下のような整備が重要です。
- 傷病手当金など社会保険制度の理解
- 従業員への情報提供体制
- 就業規則や休職制度の整備
- 社労士など専門家との連携
👉「知らなかった」では済まされない時代です
■ BHR(ビジネスと人権)の視点から
この問題は、ビジネスと人権(BHR)の観点からも重要です。
従業員の健康や生活を守ることは、
👉 企業の責任の一部
と考えられています。
適切な対応ができるかどうかは、
- 企業の信頼性
- 組織の持続可能性
に直結します。
■ まとめ
このケースから分かることはシンプルです。
👉 制度はあるだけでは意味がない
- 知っていること
- 使えること
- つなげられること
これが重要です。
■ 最後に
福祉の現場では、「あと一歩早ければ」と感じるケースに何度も出会います。
企業と制度が正しくつながることで、救える生活があります。
👉「人に優しい企業づくりから、人に優しい社会へ」
社会保険労務士として、その役割を果たしていきたいと考えています。
【実体験】車上生活に至った元会社員のケース→コチラ
【実体験】障害年金を知らなかった相談者の話→コチラ
BHR推進社労士が企業にどのような価値を提供できるかについては、
「ビジネスと人権に取り組むBHR推進社労士の魅力」で整理しています。
人権調査票やサプライチェーン調査への実務対応については、
「人権デューデリジェンスとは?中小企業が対応すべき調査票と外国人雇用リスク」で整理しています。
