令和5年監督結果 「役職手当」不算入めだつ 割増賃金違反が最多 相模原労基署(2024/9/5)
神奈川・相模原労働基準監督署(荻野憲一署長)は、昨年実施した監督指導のうち、労働基準法第37条(時間外、休日および深夜の割増賃金)違反が最多だったと明らかにした。何らかの違反を確認した約250事業場のうち、約26%で割増賃金違反が認められている。とくに職務関連手当や役職手当について、割増賃金の基礎となる賃金に算入していない事業場がめだったため、除外できる手当の範囲に関するリーフレットを作成し、支払い状況の確認を求めている。
昨年の監督結果では、割増賃金に関する違反が、同法第32条(労働時間)違反と並び、最も多かった。次いで同法第15条(労働条件明示)違反、同法第39条(年次有給休暇)違反が続く。4年度は、労働時間違反(32%)が割増賃金違反(25%)を上回っていた。
割増賃金に関する違反では、役職手当や職務関連手当についての違反がめだった。営業職に対してのみ支払っている手当や、係長などの役職者に支払う手当などを、割増賃金の基礎となる賃金から除外していたケースを確認している。同労基署では、「役職手当や職務手当のような、業務に関連している手当については、基礎から除外しても問題ないと誤って認識している事業場が多い」と危機感を示す。
リーフレットでは、家族手当や通勤手当、別居手当など除外できる手当の種類を示した。「例示ではなく、限定列挙のため、該当しない賃金はすべて算入」するよう求めている。
間違いの多い、“除外できる手当の具体的範囲”についても解説した。たとえば通勤手当では、実際の通勤距離にかかわらず1日300円を一律に支給しているような場合は、除外できないと強調している。
過去の違反事案では、給与計算システムを導入した際に、算入する手当の範囲に誤りがあり、結果として支給額が間違っていたケースなどもみられたという。同労基署の担当者は、「管内の事業場では、基本給の代わりに手当を多く支払って処遇改善を図っている事業場も多い。リーフレットを活用し、自社の割増賃金の支払い額に間違いがないか、再確認をしてほしい」と話している。
(以上 労働新聞より)
時間外手当の計算間違いは「隠れ債務」となります。難しい部分ですので、心配な企業様は社労士にご相談下さい。
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