【事例解説】死亡労災で派遣元が書類送検|「現場でなく配置側が責任を負う」意味とは(2024/1/17)
■ 死亡労災で問われたのは「現場」ではなかった
静岡・富士労働基準監督署は、令和4年7月に発生した死亡労働災害に関連し、イカイアウトソーシングおよび同社係長を、労働安全衛生法第20条違反の疑いで書類送検しました。
本件で注目すべきは、
👉 事故が発生した工場ではなく、派遣・請負側の事業者が送検された点
です。
■ 事故の概要
事故は、富士市内の製紙工場で発生しました。
派遣・請負事業者に所属する労働者が、機械の調整作業中に、
👉 機械と接触し、頭部を挟まれて死亡
するという重大災害です。
問題とされたのは、
👉 機械の運転を停止するなどの接触防止措置を講じていなかったこと
でした。
■ なぜ派遣元が責任を問われたのか
この事案の本質はここにあります。
👉 「どこで事故が起きたか」ではなく、「誰が作業をさせていたか」
です。
今回送検された派遣・請負側は、
- 労働者を配置し
- 作業に従事させ
- 作業内容を把握できる立場にあった
つまり、
👉 実質的に作業を管理していた主体
でした。
そのため、
👉 安全措置を講じる義務を負っていた
と判断されています。
■ 「元請ではない」は通用しない
実務でよくある誤解があります。
- 「現場は元請の責任」
- 「場所を提供している会社の責任」
しかし今回の事例は、それを明確に否定しています。
👉 作業に関与している以上、責任は発生する
■ 労働安全衛生法第20条の意味
労働安全衛生法第20条は、
事業者に対して、
- 機械による危険防止
- 労働者の安全確保
を義務付けています。
今回のケースは、
👉 最も基本的な安全措置(機械停止)を怠った
典型例です。
■ 現場で起きている“危険な慣習”
この種の事故には共通点があります。
- 作業効率を優先する
- 「止めなくてもできる」という判断
- 現場での暗黙の了解
👉これが事故を引き起こします
■ 企業に求められる視点
今回の事例から企業が学ぶべきことは明確です。
■ ① 作業の「関与度」で責任は決まる
- 場所ではない
- 契約形態でもない
👉 実態で判断される
■ ② 安全対策は“最低限”が最重要
高度な対策よりもまず、
👉 止める・触らせない
■ ③ 委託・派遣でも安全管理は必要
- ルールの共有
- 責任範囲の明確化
- 教育の統一
👉これが不可欠
■ BHR(ビジネスと人権)の視点
この問題は単なる労災ではありません。
👉 労働者の生命に関わる人権問題
です。
企業は、
👉 「安全に働ける環境を提供する責任」
を負っています。
■ まとめ
今回の事例のポイントはシンプルです。
👉 「作業をさせている側が責任を負う」
- 元請かどうかは関係ない
- 現場かどうかも関係ない
- 関与していれば責任は発生する
■ 最後に
重大災害は、特別な状況で起きるものではありません。
👉 基本的な安全措置が守られなかったときに起きます
企業としては、
- 作業手順
- 安全教育
- 管理体制
を見直すことが求められます。
■ 出典
本記事は、以下の報道および法令に基づき作成しています。
・『労働新聞』
「業務委託先で死亡労災 派遣業者を書類送検 接触防止措置講じず 富士労基署」
(令和4年12月8日送検)
・労働安全衛生法第20条
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「人権デューデリジェンスとは?中小企業が対応すべき調査票と外国人雇用リスク」で整理しています。
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