【ゼロ災運動50年】「働きがい」まで踏み込む新要綱 中災防が安全衛生の次のステージへ(2024/12/26)
中央労働災害防止協会(中災防)は、ゼロ災運動が50周年を迎えたことを契機に、新たに「ゼロ災害全員参加運動推進要綱」を策定しました。
今回の見直しで注目すべきは、従来の「災害ゼロ」にとどまらず、
👉 その先にある「働きがいのある職場」までを目標に据えた点です。
■ゼロ災運動の本質は「人間尊重」
ゼロ災運動は、昭和48年から続く日本の代表的な安全衛生活動です。
その根底にあるのは一貫して、
- 誰一人ケガをさせない
- 誰も病気にさせない
- 一人ひとりはかけがえのない存在である
という「人間尊重」の理念です。
この理念は、
- ゼロ(災害を根絶する)
- 先取り(危険を予測し未然防止する)
- 参加(全員で取り組む)
という3つの原則として現場に落とし込まれ、指差し呼称やKY(危険予知)活動などとして広く普及してきました。
■変化したのは“労災の中身”
今回の要綱改訂の背景には、産業構造の変化があります。
現在では、
- 就業者の7割以上が第三次産業
- 転倒・腰痛などの行動災害の増加
- 高年齢労働者の労災増加
といった特徴が顕著になっています。
つまり、これまでの製造業・建設業中心の「危険作業対策」だけでは不十分となり、
👉 日常動作・健康・加齢といった要素を含めた安全対策が必要になった
ということです。
■「安全」から「働きがい」へ
今回の新要綱では、
- 安全(ゼロ災害)
- 健康(ゼロ疾病)
に加えて、
👉 「働きがい」や「健康づくり」
が明確に位置付けられました。
これは単なるスローガンではなく、
- ストレッチや体操の導入
- 短時間で実施できる安全活動の開発
- 第三次産業向け研修の実施
など、具体的な施策として展開される予定です。
■実務上のポイント
企業に求められているのは、従来の安全対策の延長ではありません。
👉 「安全+健康+働きがい」を一体で設計すること
です。
特に重要なのは次の点です:
- 高年齢労働者を前提とした安全設計
- 行動災害(転倒・腰痛)への対応
- 心身の健康を含めた職場づくり
- 現場任せにしない組織的運用
■BHR(ビジネスと人権)の視点
この取組みは、まさに「ビジネスと人権(BHR)」そのものです。
国際的には、国際労働機関が掲げる「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)」の実現が重要な目標とされています。
その中核には、
👉 「安全で健康的な労働環境」
が明確に位置付けられています。
今回のゼロ災運動の進化は、
- 災害を防ぐ
- 健康を守る
- 働きがいを高める
という流れで、まさにディーセント・ワークの実現に直結するものです。
■最も重要なのは「トップのコミットメント」
今回の要綱でも明確に示されている通り、最も重要なのは
👉 経営トップによる明確な意思表明(コミットメント)
です。
- 安全と健康を最優先とする方針の明示
- 現場への具体的な落とし込み
- 管理職による率先垂範
これらが揃って初めて、ゼロ災運動は機能します。
逆に言えば、
👉 理念だけでは何も変わらない
という点は、BHRとも完全に共通しています。
■出典
労働新聞
「ゼロ災運動 『働きがい』ある職場へ 中災防が要綱策定」
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