【最新情報】新しい育成就労制度が目指す「人権重視」とは?~BHR推進社労士が解説~(2025/5/11)
◆ 「育成就労制度」って何?
育成就労制度とは、現在の「外国人技能実習制度」に代わる新しい制度として、法務省と厚生労働省が共同で整備を進めている仕組みです。
2025年4月28日(令和7年4月28日)から5月28日まで、制度導入に伴う政省令案へのパブリックコメントが開始されました。今はまだ“案”ですが、大きな変更がなければ令和9年(2027年)4月1日から施行予定です。
◆ 外部監査人の設置が義務に
現在の「監理団体(約3,000団体)」のうち、外部監査人を設置しているのは約1,000団体にすぎません。
なぜ少ないのかというと、現行制度では「外部監査」は任意だったからです。内部監査だけでもOKとされていたため、結果としてチェックが甘くなり、問題が見過ごされるケースも少なくありませんでした。
新しい育成就労制度では、これが大きく変わります。
監理支援機関(旧監理団体)には「外部監査人」の設置が義務化されるのです。
外部監査人には、以下のような公正性と専門性が求められます:
申請者・監理先企業と過去5年以内に密接な関係がないこと
弁護士、社会保険労務士、行政書士など、育成就労に関する知見を有する専門職であること
所定の講習を修了していること(3年以内)
つまり、制度の健全な運用には、専門職の力が欠かせない時代になったということです。
◆ 注目すべき「人権尊重」の義務
さらに特筆すべきは、制度の中に「人権の尊重」が明確に組み込まれた点です。
<省令案より 抜粋(監理型育成就労の基準)>
a. 違約金や不当な金銭のやりとりを予定する契約を結んでいないこと
b. 暴行・脅迫・自由の制限・その他の人権侵害が行われていないことを、申請者・監理支援機関が定期的に確認すること
このように、省令案は「人権侵害をしてはいけません」ではなく、
「人権侵害がないか、定期的に確認しなければならない」と義務づけているのです。
これは制度として画期的なことです。
そしてこの「人権」の基準となるのが、ILO中核的労働基準や国際人権宣言など、国際社会が共有する原則です。
◆ 私たち社労士の出番です!(もちろん弁護士・行政書士も出番です!)
こうした国際的な人権基準に基づいて、現場の労務体制を整えるには、
法律・制度・労務管理・外国人雇用の現場すべてに精通している専門職が必要です。
私たちBHR推進社労士は、
ILO基準や人権デューデリジェンスへの理解
外国人労働者に関する行政実務経験
現場の労務管理・監査体制整備のサポート実績
こうした経験と知識を持ち合わせたプロフェッショナルです。
制度開始ギリギリに慌てて準備するのではなく、今から体制を整えておくことで、制度開始後も安心して外国人雇用を継続できます。
◆ 最後に:人権配慮は「コスト」ではなく「信頼への投資」
人権を守ることは、「やらなければいけない義務」ではありますが、
それ以上に、企業の信頼や採用力、持続可能性を高めるための「投資」でもあります。
「うちは問題ないから」ではなく、「うちは問題が起きない体制がある」と言えるように。
私たちBHR推進社労士と全国の社労士が、全力で支援します。
制度対応でお困りの方、人権方針や監査体制の見直しをご検討の方は、ぜひ私たちにご相談ください。
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