【経験3年未満の労働者に労災集中】BHR推進社労士が解説|外国人労働者と雇入れ時教育の重要性(2025/5/30)
はじめに|労災の4割が経験3年未満の労働者に発生している現実
令和6年、岡山労働局(森實久美子局長)が発表した労働災害データによれば、**休業4日以上の労災2,336件中、経験年数3年未満の被災件数は837件(35.8%)**と非常に高い割合を占めています。
さらに、「はさまれ・巻き込まれ災害」では41.2%という衝撃的な数字も。
この数字は「労災=経験不足が原因」という単純な話ではなく、企業の労務管理や安全教育体制の脆弱性、そしてBHR(ビジネスと人権)観点からの対応不足が問われているサインです。
労災発生の背景|人材流動化・教育不足・ベテランの退職がリスクを加速
岡山労働局の分析によれば、労災多発の背景には次のような要因が挙げられています:
新規入職者の増加
社内異動による新たな業務への適応不足
団塊世代ベテランの退職により、暗黙知の継承が困難
外国人労働者の増加に対して、教育体制が未整備
これらの課題は、単なる業務上の問題ではなく、**企業に課せられた「人権尊重の責任(BHR)」**と深く結びついています。
BHRとは?|人権リスクと企業責任の新しい基準
BHR(Business and Human Rights:ビジネスと人権)とは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、企業が人権を尊重する行動を取るべきという世界的な潮流です。
企業に求められる3つの責任
人権を尊重する義務(Respect)
未熟練者・外国人労働者への不適切な指導は、命や健康を脅かす人権侵害になりうる。リスクの予防と軽減(Prevent and Mitigate)
形式的な研修ではなく、**「本当に理解できる教育体制」**の構築が求められます。救済と再発防止(Remedy)
労災が発生した際には、第三者も納得できる形での検証と是正措置が必要です。
外国人労働者の災害増加と教育の課題
岡山県内の外国人労働者による労災は:
令和4年:65件
令和5年:90件
令和6年:103件
と、毎年増加傾向にあります。
これは、**言語・文化の壁による教育の「機能不全」**を示しています。
外国人への雇入れ時教育で重視すべき5つのポイント
項目 | 内容 |
---|---|
1. 多言語化 | 厚労省の外国語教材を活用し母語での理解を促進 |
2. 視覚教材 | 写真・動画・図解によるわかりやすい説明 |
3. 実演教育 | 「見せてからやらせる」安全OJTを徹底 |
4. フィードバック | 理解度チェックや振り返りを習慣化 |
5. 外部講師 | 小規模事業所は専門講師の活用で補完 |
雇入れ時教育は「法令順守」だけでなく「人権配慮」へ
「労働安全衛生法第59条」により、雇入れ時教育は法的義務ですが、BHRの観点では単なる法令順守では足りません。
形式的な研修=企業イメージ毀損のリスク
➤ 雇入れ時教育を強化するための社労士サポート(例)
教育マニュアルの外国人対応・多言語対応化
人材の経験・スキルに応じた教育カリキュラム設計
ハラスメント防止・人権配慮型教育の導入
教育効果の見える化(評価指標の導入)
BHR推進社労士としての支援|持続可能な労務管理へ
私はBHR(ビジネスと人権)視点に基づく安全教育・人権配慮型の労務整備を専門とする社労士です。
外国人労働者が多い現場での教育設計
労災対策と人権リスク対策の一体化支援
小規模企業への伴走型コンサルティング
企業価値と従業員の安全を両立させる体制づくりを、丁寧にサポートします。
まとめ|教育体制こそが「人権経営」の出発点
労災の4割が経験3年未満の労働者に集中している現状は、
「安全教育の質が命に直結する時代」
であることを意味します。
その教育の質を高めるには、BHR(ビジネスと人権)という新たな視点が不可欠です。
ビジネスと人権に取組むBHR推進社労士の魅力はコチラ
≪ 【2025年6月1日スタート】明日から義務化!熱中症対策とビジネスと人権(BHR)の新しい関係 | 外国人労働者の労働安全とBHR(ビジネスと人権)|2027年開始の育成就労制度に向けた社労士の役割とは ≫