がん治療と仕事の両立支援は「努力義務以上の価値がある」 〜人権尊重経営を実現するために〜(2025/6/15)
東京産業保健総合支援センター(尾﨑治夫所長)は、近年のがん治療の進歩と仕事の両立支援の重要性を広く周知するため、リーフレットを作成し、企業や働く人々への啓発活動を強化しています。
不治の病と思われていたがんも、医療の進歩により通院や短期入院での治療が可能となり、仕事を続けながら治療を受ける選択肢が広がっています。
こうした背景の中で「治療と仕事の両立支援」は、少子高齢化社会における企業経営の大きなメリットとも言えるでしょう。
📌 両立支援の法的根拠 〜努力義務の位置づけ〜
治療と仕事の両立支援は、以下の法律等で事業主の努力義務とされています。
労働施策総合推進法 第13条
事業主は、労働者の職業生活の全期間を通じた雇用の安定を図るため、労働者の職業生活と治療その他の生活との両立に関し、必要な配慮をするように努めるものとする。
厚生労働省「事業主による治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」(平成28年2月)
両立支援のための社内体制整備
医療機関等との連携
個別の就業上の配慮の検討
などを努力義務として推奨しています。
💡 同じ取組なら「努力義務だから」ではなく「人権尊重経営」として積極的に
BHR(ビジネスと人権)推進社労士として、私は次のように考えます。
治療と仕事の両立支援は、
✔ 病気を理由とした不利益取り扱いの防止
✔ 働く人の尊厳の保持
✔ 多様な人材が活躍できる職場環境の整備
といった「人権尊重経営」に直結する取組です。
国連「ビジネスと人権に関する指導原則」においても、企業には法令遵守を超えた人権尊重責任が求められています。
努力義務だから「最小限の対応」で済ませるのではなく、むしろ積極的に取り組むことで、
社員の安心感・信頼感の向上
人材定着・採用力の強化
ESG経営・SDGs貢献の一環としての社会的評価向上
といったプラスの効果が期待できます。
🛠 BHR推進社労士が支援できること
企業の皆様が両立支援を進める際、BHR推進社労士として次のようなサポートが可能です。
両立支援のための制度設計・就業規則整備
個別事案の対応プラン作成の伴走支援
人権DD(デューデリジェンス)の視点での現状診断と改善提案
🚀 まとめ:今こそ「人を大切にする経営」の一歩を
治療と仕事の両立支援は、単なる法的努力義務ではなく、企業が人権を尊重し、未来への責任を果たす姿勢そのものです。
BHR推進社労士として、
「どこから始めればいいのかわからない」
「社内に罹患者が出る前に備えたい」
そんな企業様の伴走支援を行っています。
ぜひお気軽にご相談ください。
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