若者の死因1位は自殺──ビジネスと人権の視点から企業に求められる責任とは(2025/6/22)
人口減少社会で進む「静かな喪失」
少子化と人口減少が進む日本。これからの社会を支えるはずの若い世代が、自ら命を絶つという悲しい現実があります。厚生労働省・警察庁の統計によれば、**過去10年以上にわたり、10代・20代・30代の死因第1位は「自殺」**です。
これは、もはや個人の問題ではなく、社会全体の構造的課題です。
若年層の自殺、実は「職場」が関係している?
特に20代・30代の自殺については、職場での問題が深く関係していることが、公的データから明らかになっています。
🔹 厚労省「自殺対策白書」より
20代・30代の有職者の自殺理由として、「勤務問題(長時間労働・パワハラ等)」や「精神的な健康問題(うつ等)」が主な原因に。
実際、働き始める時期と重なる20代・30代の自殺死亡率は年々上昇傾向にあります。
「ブラック企業」は未来を奪う存在
働くことで追い詰められ、命を失う若者がいる。
これは決して見過ごしてはならない現実です。
ブラック企業の存在は、ただの労務管理の失敗ではありません。人権の侵害です。
若者が命を削ってまで働かなければならないような職場が残っている限り、日本の未来は縮んでいく一方です。
そうした企業が「成長」することは、もはや社会全体にとってのリスクと言えるでしょう。
BHR(ビジネスと人権)推進社労士としての提言
私たち社会保険労務士には、企業と働く人の間に立ち、健全な労働環境をつくる使命があります。
BHR(ビジネスと人権)の観点から、強く訴えたいのです:
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人権を無視する企業には、社会的責任がある
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職場の不適切な対応が、若者の命を奪っている
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「離職は敗北」ではない。命を守る正当な選択である
そして何よりも、
人権を尊重できない企業は、社会の未来を担うべきではない。
結論:企業に求められるのは「人を大切にする力」
人口減少社会において、若者は貴重な存在です。
だからこそ、企業には以下のような意識改革が必要です。
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長時間労働やパワハラを許容しない仕組み
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従業員の声を聴く対話的なマネジメント
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「企業の成長=人の幸福」となる経営ビジョン
人権を守る企業こそが、持続可能な未来を創っていく。
それが、ビジネスと人権(BHR)を推進する私たち社労士の信念です。
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