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【ビジネスと人権】なぜ今“人権”が問われるのか? ――国際ルールと日本の制度改革の背景を理解する 外国人労働者と人権・第3回(2025/6/26)

外国人労働者の受け入れに関わる制度改革が進むなかで、
「ビジネスと人権(BHR)」という言葉をよく耳にするようになりました。

なぜ、今、人権がこれほど重視されるのでしょうか?
国際社会の動きと日本の対応を理解することは、制度の本質を捉える第一歩です。



国際社会における人権尊重の潮流

国連は2011年に「ビジネスと人権に関する指導原則」を採択。
企業に対して人権尊重の責任を明確にし、事業活動が人権侵害に関与しないよう求めています。

また、ILO中核的労働基準に2022年、「安全で健康な労働条件」が追加され、
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分野10条約となり充実されました。



日本政府の対応と制度改革への反映

日本政府は「ビジネスと人権に関する行動計画(NAP)」を策定し、
企業に対し人権デューデリジェンスの実施や適切な対応を促進しています。

育成就労制度には、この国際的な潮流が強く反映され、
外国人労働者の人権を保護する仕組みが制度設計の中心に据えられました。

また、特定技能制度の一部では、すでに人権監査が法的に義務づけられています。

たとえば、人権侵害の多さが国際的に問題視されていた繊維業界では、
特定技能外国人を雇用するために、受入企業が**日本初の人権監査「JASTI監査」**を受け、認証を取得しなければなりません。

このように、「認証を受けなければ雇用できない」という形で制度に組み込まれている規制は、**ハードロー(強制力のある法律)**と呼ばれます。

ヨーロッパを中心とした国際社会では、こうしたハードローによって企業の人権責任を明確にし、実効性のある仕組みで働く人の人権を守る流れが加速しています。



監理支援機関・企業に求められる人権配慮

これらは単なる義務ではなく、企業価値や信頼性を高める重要な経営資源でもあります。



BHR推進社労士からのひとこと

人権尊重は「守るべきルール」だけでなく、
「ともに働く人と組織の未来をつくる力」として捉えましょう。



✍️この記事を書いた人

烏脇 直俊(からすわき なおとし)
BHR
(ビジネスと人権)推進社労士 / 外国人技能実習制度 外部監査人 / 行政書士(有資格・未登録)

外国人技能実習制度・育成就労制度を「人権の観点」から支援することを専門とする社会保険労務士。
監理団体・企業・自治体と連携し、制度対応から実務改善、職場の人権環境整備まで幅広くサポート。

「制度を使うだけでなく、活かす時代へ。」
制度改革に前向きに取り組みたい方は、どうぞお気軽にご相談ください。

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次回予告

次回は、
「育成就労制度の実務対応ポイント」について具体的に解説します。
ぜひお楽しみに。

 

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