【ビジネスと人権】育成就労制度を“活かす”企業と支援機関とは? ――制度の“その先”にある、信頼と共生の未来像 外国人労働者と人権 第30回最終回(2025/7/26)
🌿はじめに|制度は「入口」、関係性は「出口」
育成就労制度の導入・運用は、目的ではなく“きっかけ”です。
外国人材の労働と生活、地域との共生をどう築くか。
制度が目指す本質は、「人を育て、人を尊重する社会の構築」**にあります。
今回は、これまでの総まとめとして、
- 企業・支援機関が取り組むべき“その先”の姿
- BHR(ビジネスと人権)の観点から見た成功のポイント
を整理し、未来への展望とともに締めくくります。
✅ 1|制度対応だけで終わる企業、そこから進む企業
タイプ 特徴 結果
対応止まり型 書類整備・最低限の運用 定着しない、人材が疲弊、地域と孤立
共生志向型 支援体制の工夫、地域との協働 人材が育ち、信頼され、地域に根づく
制度対応だけで終わる企業は、外国人にとって「一時的な通過点」に過ぎません。
制度を“活かす”企業は、外国人にとって「人生の分岐点」となりうる存在です。
✅ 2|【ビジネスと人権】を体現する企業・支援機関の条件
視点 実践のポイント
人権 苦情対応・外部相談の導線を整える
育成 日本語教育・キャリア設計を支える体制
定着 生活支援・家族・地域との接点を意識
情報 わかりやすく、誠実な見える化と対話
協働 地域・行政・NPOとパートナーシップを築く
内省 外部監査・自己点検で“見えない課題”にも向き合う
✅ 3|制度の“先”にある価値とは何か?
BHRの視点に立つと、制度は「最低限守るべきライン」ではなく、
“共に働き・生きる未来”を試行錯誤する舞台装置です。
○自社のあり方を問い直す
○地域の多様性を広げる
○国籍を超えた信頼を築く
○新たなリーダーが育つ
これらはすべて、制度の外側にある副産物=“真の価値”です。
だからこそ、制度を「回す」だけでなく「育てる」姿勢が問われます。
✅ 4|外国人材から「選ばれる国」「選ばれる企業」へ
制度は国が作りますが、
「この国で働き続けたい」「この企業を離れたくない」と思わせるのは人と現場です。
選ばれるポイント 企業ができること
生活の安心 寮・交通・食事・医療の整備
成長の実感 評価・昇給・スキルアップ支援
人との関係 日本人従業員との交流・多文化理解
未来の展望 特定技能・永住・転職などの伴走支援
“選ばれる側”になることが、今後の企業・地域の競争力を決めていきます。
✍️BHR推進社労士からのメッセージ
30回にわたるこのシリーズは、制度の解説にとどまらず、
「制度の向こうにいる人」と「現場で支える人」の姿を見つめてきました。
BHR(ビジネスと人権)は特別な理念ではなく、
「人を人として扱う」あたりまえの基準を、企業や制度の中にどう埋め込むかという営みです。
制度は変わっても、人の尊厳は変わりません。
それを支えるのが、あなたの職場であり、現場です。
ここからが始まりです。
✍️この記事を書いた人
烏脇 直俊(からすわき なおとし)
BHR(ビジネスと人権)推進社労士 / 外国人技能実習制度 外部監査人 / 行政書士(有資格・未登録)
外国人技能実習制度・育成就労制度を「人権の観点」から支援することを専門とする社会保険労務士。
監理団体・企業・自治体と連携し、制度対応から実務改善、職場の人権環境整備まで幅広くサポート。
「制度を“使う”だけでなく、“活かす”時代へ。」
制度改革に前向きに取り組みたい方は、どうぞお気軽にご相談ください。
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