【ビジネスと人権】減給はNG?就業規則の見直しで国際基準に対応する方法|BHR推進社労士より解説(2025/8/3)
✅導入文
「うちは日本の法律に従っているから問題ない」
その考え方、グローバル企業との取引やESG評価の場面では通用しなくなってきています。
ビジネスと人権(BHR)への対応が求められる現在、企業が見直すべきポイントのひとつが「懲戒処分としての減給」です。
2025年8月号『ビジネスガイド』(日本法令)では、弁護士 西川暢春先生による、RBA行動規範(国際人権ルール)に準拠した就業規則のあり方が解説されました。
BHR推進社労士として、この記事は「今後の企業法務の方向性を示す道しるべ」と受け止めました。本記事では、その内容をベースに、名古屋市をはじめとした中小企業・農業法人・介護事業所にも関係する重要な論点を整理してお伝えします。
🔍目次
- 減給の懲戒処分は国際ルールではNG?
- RBA行動規範とは?サプライチェーン全体に影響
- 日本企業に必要な対応とは?(就業規則・制度)
- 退職の自由を就業規則に明記する必要性
- BHR対応が「名古屋市の中小企業」にも求められる理由
- まとめ:社労士こそ「人権対応の番人」へ
1.減給の懲戒処分は国際ルールではNG?
日本の労働基準法第91条では、一定条件下で「減給の懲戒処分」が合法とされています。
しかし、RBA行動規範(ResponsibleBusiness Alliance Code of Conduct)では、明確にこう定められています:
「懲戒処分としての賃金控除は認められない(Deductions fromwages as a disciplinary measure shall not be permitted)」
つまり、「働いた分の賃金を引く処分」は国際的には人権侵害と見なされる可能性があるということです。
2.RBA行動規範とは?サプライチェーン全体に影響
RBA行動規範は、グローバル企業が取引先に求める人権・労働・環境の基準です。特に電子機器業界を中心に普及してきましたが、今や多業種に広がり、サプライチェーン全体での準拠が要求されます。
つまり、名古屋市内の中小企業や下請業者であっても、親会社がRBA対応を進めていれば、その対応が必須となる可能性があるのです。
3.日本企業に必要な対応とは?(就業規則・制度)
弁護士 西川暢春先生は、RBA準拠のために減給規定の削除を提案しています。ただ削除するだけでなく、代替手段をしっかり設計することが重要です。
👨⚖️西川先生が提案する対応例:
○出勤停止処分(1日でも可)で代替
○追加研修・人権研修を懲戒手段として導入
○減給削除後も「けん責→出勤停止→諭旨退職→懲戒解雇」の段階的処分ルートを明記
🔑 「懲戒処分の積み上げがない解雇」は訴訟で不利になる可能性あり。制度として設計しておくことが肝要です。
4.退職の自由を就業規則に明記する必要性
RBAでは、強制労働を防ぐため、「退職の自由」が労働者に明示されていることを求めています。
労働者は、妥当な通知を行えば、いつでも雇用を終了でき、罰則も受けない。これを契約書に明記すること。
✅日本法上でも無期雇用なら「2週間前通知で退職可能」です。
しかし実際には、
○「1ヶ月前に会社の承諾を得ること」などの記載が…
○→ これはRBA規範と矛盾し、違法リスクも
BHR対応の視点からも、就業規則や雇用契約書の記載を見直す必要があります。
5.BHR対応が「名古屋市の中小企業」にも求められる理由
愛知県・名古屋市には、自動車・機械・農業・介護など、多様な産業が集積しています。
これらの業種では、今後以下のような場面でBHR対応が問われるでしょう:
○グローバル企業との取引継続
○SDGsやESGを掲げる取引先からの監査対応
○外国人労働者の受け入れや在留資格更新支援
○人権侵害リスクの削減(とくに技能実習・介護等)
「就業規則を見直しておけば良かった」と後悔する前に、できる対応から始めることが大切です。
6.まとめ:社労士は「人権対応への伴走者」
懲戒処分・退職条項・就業規則の整備は、人権リスクを最前線で防ぐ領域です。
社労士として、BHR(ビジネスと人権)対応はもはや“上場企業の話”ではなく、あらゆる事業者に必要な「現場のルールづくり」です。
西川暢春弁護士が指摘するように、国際ルールとの整合性を意識した労務管理こそが、企業の持続可能性を支える。
私も、名古屋市を中心とした中小企業や農業法人、介護事業所の皆さまに、この考え方を届けていきたいと考えています。
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○ビジネスと人権について学びたい
○人権方針策定や人権DDに取組みたい
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