BHR(ビジネスと人権)推進社労士が注目 ― 外国人材の日本語教育支援が地域を変える【愛媛県事例】(2025/8/4)
2025年7月、愛媛県が打ち出した新たな施策が、外国人労務の現場で静かな注目を集めています。県内企業に雇用されている外国人材に対し、オンラインで日本語を学べる無料講座を提供するというものです。初級・中級・上級と3つのレベルが設けられ、動画講座と講師によるライブレッスンが10月から翌年2月まで開講されます。
これは単なる「語学講座」ではありません。BHR(ビジネスと人権)の視点から見れば、労働者の人権保障、企業の責任、地域社会の持続性に深く関わる、非常に本質的かつ実践的な取組です。
■ どの在留資格でもOK ― 包摂的な支援設計
この事業の大きな特徴は、在留資格を問わず誰でも参加できるという点です。技能実習生、特定技能、留学生、さらには帯同家族も含まれる設計になっており、まさに「誰ひとり取り残さない」構造になっています。
企業側には、学習支援担当者の設置が求められ、学習の進捗状況も毎月フィードバックされます。単なる学習機会の提供に留まらず、受講者の成果を企業と共有し、業務との連携や個人の成長支援へつなげる体制が整っています。
■ 中級で方言も学べる!?―地域に根差した語学教育
中級コースでは、N5~N4レベルの外国人材に対し、仕事で必要な語彙や文法、さらには地域で使われる方言まで学べるとのこと。これが実に画期的です。
外国人材が地域に溶け込むには、日常会話の中で飛び交う「ローカルな言葉」を知ることが欠かせません。それは生活の自立、トラブルの予防、そして文化理解の扉にもなり得ます。BHRの原則の一つである「文化的権利の尊重」ともつながります。
■ 日本語能力の向上は、すべての人の利益
BHR推進社労士として強く訴えたいのは、外国人材の日本語能力向上は、本人のためであり、企業のためでもあり、最終的には地域社会全体の安定のためになるということです。
言葉が通じないと、労働災害や誤解のリスクが高まるだけでなく、閉ざされたコミュニティーが形成されてしまいます。その結果、「外国人だけの世界」ができ、互いに交わることなく、やがて不信や分断、社会の崩壊につながることさえあるのです。
そんな未来は、誰も望んでいません。
だからこそ、日本語教育支援に行政が本腰を入れることには、大きな意味があるのです。
■ 外国人材支援は「人権課題」であり、「経営課題」でもある
外国人労務の問題は、単なる手続きや労務管理の話ではありません。BHRの文脈で言えば、多様性を活かし、差別や排除を防ぐための実践行動が求められます。
企業にとっても、外国人材の定着と活躍は人材戦略上の大きなテーマ。日本語力のサポートは、「定着率の向上」や「生産性の向上」「トラブルの未然防止」に直結する経営課題でもあるのです。
■ まとめ ― 日本語教育から始まるBHRの実践
愛媛県のこの取組は、「行政・企業・外国人材」が三位一体で支え合うモデルであり、全国の他自治体・企業にも広く参考にしてほしい事例です。
外国人材が地域社会の一員として安心して暮らし、働くことができるようにすること。それはBHR(ビジネスと人権)の理念の実現であり、私たち社労士にとっても、未来を形づくる支援者としての重要なミッションです。
企業におかれては、ぜひこうした支援制度を積極的に活用し、「共に働く」「共に生きる」職場づくりを進めていただきたいと願っています。
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