長時間労働は“企業の寿命”を削る ~BHR(ビジネスと人権)推進社労士が警告する、違法残業の末路~(2025/8/8)
厚労省発表:違法残業は全国で4割超
厚生労働省が令和6年度に実施した監督指導の結果、全国の事業場の42.4%(1万1230事業場)で違法な時間外労働が発覚しました。
そのうち月80時間超の時間外・休日労働が確認されたのは5464事業場。さらに月200時間超という異常な長時間労働は124事業場に上ります。
この数字は氷山の一角です。監督指導は、「80時間超の残業が疑われる」「過労死などの労災請求があった」など、すでに危険信号が出ている職場を対象に行われています。つまり、水面下にはまだ多くの未発覚ケースが潜んでいる可能性が高いのです。
長時間労働は重大な人権侵害
BHR(ビジネスと人権)の観点から見れば、過労死や過労自殺は最も深刻な人権侵害の一つです。
長時間労働そのものも「ディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)」から大きく逸脱しています。
さらに、長時間労働の背景には往々にしてハラスメントが存在します。
○「帰れない空気」
○「無言の圧力」
○「人手不足を理由に断れない環境」
これらはすべて人権侵害の温床です。
サプライチェーン全体の責任
現代のビジネスでは、1つの企業の長時間労働がサプライチェーン全体に影響します。
下請け企業の長時間労働は、元請けの納期設定やコスト圧力が原因である場合も少なくありません。
国際的には、人権デューデリジェンス(人権DD)の枠組みの中で、サプライチェーンにおける労働環境リスクの把握と改善が企業の責任とされています。
つまり「うちは直接雇用していないから関係ない」という言い訳は通用しません。
健康障害防止措置の違反も深刻
今回の調査では、医師の面接指導未実施や健康診断未実施など健康障害防止措置違反が21.5%に上りました。
賃金不払い残業も8%(2118事業場)で発覚しています。
これらは労基法だけでなく、安全衛生法にも抵触する重大な違法行為です。
違法残業に依存する企業は必ず淘汰される
人手不足を理由に、違法な残業で現場を回す企業は、今後の市場では生き残れません。
理由は3つあります。
採用難が加速
長時間労働の評判が広がれば、若手はもちろん、即戦力も応募しなくなります。離職率の上昇
残った従業員も疲弊し、負のスパイラルに陥ります。取引停止リスク
大手や海外企業との取引では、人権DDの観点から長時間労働企業はリスクと見なされます。
BHR推進社労士からの提言
36協定の見直しと労働時間の実態把握は待ったなし
サプライチェーン全体での納期・発注条件の適正化
ハラスメント防止措置と職場風土改革の同時進行
健康診断・面接指導の法令順守の徹底
36協定の見直しと労働時間の実態把握は待ったなし
サプライチェーン全体での納期・発注条件の適正化
ハラスメント防止措置と職場風土改革の同時進行
健康診断・面接指導の法令順守の徹底
従業員を大切にする企業文化を築くことは、法令遵守だけでなく、市場競争力の根幹です。
「人を使いつぶす経営」から「人を活かす経営」へ──今が転換の時です。
まとめ
長時間労働は、企業の業績だけでなく社会的信用、そして従業員の命を奪います。
BHR推進社労士として断言します。
違法残業に依存する企業は淘汰されます。今こそ、人権を守る経営が生き残りの条件です。
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