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法令違反の裏にある“アクセスの不平等” ― BHR視点で考える離島労働 (畜産業で重機の点検漏れめだつ 八重山労基署)(2025/8/16)

沖縄・八重山労働基準監督署(津田憲志署長)は、車両系建設機械などの重機を使用する事業場へ令和6年度に実施した監督指導の結果を取りまとめた。機械等に起因する労働災害防止を重点として監督を実施した46事業場のうち、65.2%に当たる30事業場で、法定点検の未実施や無資格運転など機械関係の法令違反を確認した。

 監督は畜産業や農業など、建設以外の用途でドラグショベルなどの重機を使用する業種を中心に実施した。法定の年次点検・月次点検の未実施がそれぞれ26事業場、24事業場とめだったほか、特別教育の未実施が11事業場、就業制限違反が6事業場で発覚した。

 同労基署は石垣市や与那国町など沖縄県の離島地域を管轄している。管内に点検業者や講習機関が少なく、点検などに多くの手間がかかることが、違反の多発につながったと分析している。

(以上 労働新聞より)

🔹 コメント

今回の監督結果は、単なる「法令違反の摘発」ではなく、地域特性と労働安全の課題が浮き彫りになったものと考えます。
石垣市や与那国町といった離島では、点検業者や講習機関の不足が背景にあり、「違反」以前に仕組みへのアクセスの不平等が存在しています。これはまさにビジネスと人権(BHR)の観点から取り組むべき課題です。

重機の無資格運転や点検未実施は、労働災害のリスクを高め、働く人の「安全に働く権利」を脅かします。一方で、事業者側も地理的制約から法令順守が難しい現実があります。このギャップを埋めるには、

○地域に応じた講習・点検体制の整備

○ICTを活用したリモート教育や巡回点検モデルの導入

○行政・業界団体・事業者の協働による仕組みづくり

といった人権尊重を軸にした実効性ある仕組みが不可欠です。

BHRの考え方は、「守れない現場を責める」ことではなく、誰もが安全に働ける環境をどう確保するかに焦点を当てます。今回の指摘をきっかけに、離島農業・畜産業の現場に寄り添った労働安全対策が進むことを期待します。

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