ビジネスと人権の視点で考える ― 建設業における熱中症対策と是正勧告(2025/8/19)
熱中症対策の体制不備で10現場に是正勧告――富山労働局(小島悟司局長)は、7月の全国安全週間の取組みの一環として実施した建設現場への集中監督指導の結果を取りまとめた。立入り調査を行った160現場(279事業場)のうち、今年6月に施行された改正労働安全衛生規則に基づく熱中症対策についての違反が10現場(18事業場)でみられ、是正勧告を行っている。
改正安衛則では、事業者に対し、熱中症のおそれがある作業者を把握した場合の連絡体制を整備するよう義務付けている。熱中症のおそれがある作業を行う際は、あらかじめ医療機関への搬送などの対応手順も定める必要がある。これらの内容は、関係者へ周知しなければならない。
同労働局は、「連絡体制などを整えていた事業場は、改正安衛則の施行前から実施していたようだ。一方で、公布日から施行までの期間が短かったため、もともと対策していなかった事業場では対応が間に合っていない」と話した。
(以上労働新聞より)
富山労働局が発表した建設現場への熱中症対策に関する是正勧告は、決して「処分」や「ペナルティ」という意味合いだけではなく、今後の安全衛生活動を進化させる貴重な指摘です。
改正労働安全衛生規則により、事業者には「連絡体制の整備」や「医療機関への搬送手順の確立」といった具体的な準備が求められています。これらは単に法令遵守にとどまらず、「働く人の生命と健康を守る」という人権尊重の実践そのものです。
特に建設業の現場は、猛暑の影響を直接受けやすく、労働者一人ひとりの体調管理や緊急対応がそのまま命を守ることにつながります。すでに先行して対応していた事業場もあれば、準備が追いつかなかった現場もあります。しかし大切なのは、今から確実に体制を整えることです。
「労働安全衛生」と「ビジネスと人権」は別のテーマに見えて、実は根っこでつながっています。働く人を大切にする企業は、結果的に社会からの信頼を獲得し、持続可能な経営へとつながります。
今回の是正勧告を「改善のきっかけ」と捉え、全ての現場で安心して働ける環境づくりを進めていただきたいと思います。
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