現代の奴隷制とサプライチェーン責任 BHR推進社労士の視点 「90人超を『奴隷状態』にして強制労働、中国人7人に拘禁20年 南ア」(2025/9/11)
1. 事件概要
南アフリカ・ヨハネスブルクの羽毛製品工場で、マラウイ人不法移民91人(うち14~16歳が16人)が監禁・強制労働
週7日、1日11時間の過酷労働、武装した見張りの監視下で生活
一部は事故で視力や手足を失うなど深刻な被害
中国人経営者7人が人身売買・奴隷的拘束など158件で有罪、拘禁20年
2. BHRの視点から見た問題点
現代の奴隷制
ILO強制労働条約(C29・C105)、国連ビジネスと人権指導原則(UNGPs)に明確に違反児童労働の存在
ILO C138(最低年齢条約)、C182(最悪の形態の児童労働条約)に抵触サプライチェーン上のリスク
消費者向け製品の中間工程で発生。国際企業の調達先監査が十分だったかが問われる事例
3. 日本企業への警鐘
「海外の話」と切り離さず、自社の調達先・委託先の人権リスクを把握することが必要
人権方針を策定し、強制労働ゼロを宣言するだけでなく、実効的な人権デューデリジェンス(人権DD)を実施
定期的な現地監査やサプライヤー教育、苦情処理メカニズム(Grievance Mechanism)を構築しておくことが、レピュテーションリスク回避につながる
4. メッセージ
世界には、いまだに「奴隷状態」で働かされる人々がいます。
これは私たちの消費やビジネス活動と無関係ではありません。
サプライチェーン全体で人権を守ることが、日本企業の責任であり競争力になる時代です。— 出典:AFPBB News「90人超を『奴隷状態』にして強制労働、中国人7人に拘禁20年 南ア」 (2025年9月11日配信)
ILO強制労働条約(C29)・強制労働廃止条約(C105) 和訳(抜粋)
ILO第29号条約(強制労働条約)抜粋
第2条(定義)
「強制労働」とは、何らかの刑罰の脅威の下に行われ、かつ自らの自由意志によらず提供される一切の労働または役務をいう。第4条(禁止)
強制労働はいかなる形態であれ、私人または法人によって強制されてはならない。ILO第105号条約(強制労働廃止条約)抜粋
第1条(義務)
締約国は、次のいかなる形態の強制労働も直ちに廃止し、禁止する措置をとる義務を負う:
政治的強制や教育の手段として
経済発展の手段として
労働規律を維持する手段として
罷業への懲罰として
人種・社会・国籍・宗教・政治的意見などによる差別として
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