外国人労働者の安全教育が大きく前進 ― 令和6年労働安全衛生調査から見えるBHRの実践(2025/9/17)
厚生労働省が公表した「令和6年労働安全衛生調査(実態調査)」によれば、
在留資格を有する外国人労働者が働く事業所のうち、労働災害防止対策に取り組んでいる割合は 84.7% に達し、昨年の 75.9% から約9ポイントも改善しました。
特に注目したいのは、取り組み内容の変化です。
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母国語ややさしい日本語で災害防止教育を行う事業所:60.4%(昨年比+10ポイント以上)
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災害防止の指示を理解できるよう、日本語や基本的合図を習得させている事業所:42.9%(同+1.2ポイント)
この結果は、外国人労働者に対する安全配慮が「形式的なマニュアル整備」から、「理解を伴う実践教育」へと進んでいることを示しています。
BHR(ビジネスと人権)の視点から見る意義
国連の「ビジネスと人権指導原則」では、
企業に求められる人権尊重の責任として、労働安全衛生は最重要分野の一つに位置づけられています。
外国人労働者に分かりやすい言語で教育することは、
単なる安全対策ではなく、「安全に働く権利」を保障する人権対応です。
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言葉の壁が原因の事故は、企業にとって重大リスク
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安全教育が理解できる環境は、安心感・定着率の向上にも直結
BHR推進社労士として、私は「この傾向を一過性の取組で終わらせないこと」が大切だと考えます。
まだ残る課題と次のステップ
今回の調査では、約15%の事業所が対策を講じていない現実も明らかになりました。
また、教育を行っている事業所でも、
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翻訳ツールに頼りきりでニュアンスが伝わらない
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現場リーダーが外国人労働者への指示に不安を感じている
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安全教育が入職時のみで、更新されていない
といった課題が残っています。
これから求められるのは、
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定期的な教育(年1回以上)
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現場リーダー向けのやさしい日本語研修
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多言語対応マニュアル+ピクトグラム活用
など、現場レベルで実効性のある仕組みづくりです。
まとめ:安全教育は「人権尊重の第一歩」
労働災害は、予防できる人権侵害です。
外国人労働者が安全に働ける環境づくりは、
企業のコンプライアンスを超え、持続可能な経営戦略の一部になりつつあります。
今回の調査結果を追い風に、
「分かりやすい言葉で伝える」「現場で実践できる教育を行う」
という取組を、あなたの事業所でも一歩進めてみませんか?
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