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建設業の技能実習生違反率93.6%――「安全」は人権問題であることを忘れていないか BHR推進社労士の視点(2025/10/18)

千葉労働局がまとめた令和6年の監督指導結果によると、技能実習生を使用する事業場のうち、建設業では実に9割超(93.6%)で労働基準関係法令違反が発覚しました。
全業種平均(83.9%)を10ポイント近く上回る数字です。

違反内容の上位は、「安全基準違反」「割増賃金未払い」「健康診断結果に基づく医師意見聴取の未実施」。
いずれも現場での安全衛生管理の甘さが根底にあるものです。
特別教育を受けていない実習生を危険作業に従事させていた事例もありました。


■ 「人手不足だから」は理由にならない

労働局は、背景に「人手不足による受入れ体制の遅れ」を挙げています。
確かに、建設業界では慢性的な人手不足が続き、技能実習生への依存度は高まっています。
しかし、「忙しいから」「人がいないから」といった理由で安全教育や労務管理が後回しになるとき、それは“人権軽視”のサイン”でもあります。

「安全な職場環境を整えること」――それは経営課題であると同時に、労働者の命と尊厳を守るための人権課題です。
事故や災害の防止は、単なる“法令遵守”ではなく、“人として守るべき最低限の権利”に関わる行為なのです。


■ 監理団体の監査は本当に機能しているのか

もう一つ、見逃せないのが監理団体の役割です。
本来、監理団体は受入れ機関に対して定期的に監査を行い、技能実習生の労働環境が適正かを確認する立場にあります。
それにもかかわらず、これだけ多くの違反が発覚しているということは、監理団体によるチェック機能が十分に働いていない可能性を示しています。

形式的な書類確認だけでなく、現場でのヒアリングや安全管理体制の実効性を確かめることが求められます。
監理団体がBHRの視点を持ち、「安全・健康・尊厳を守る監査」を行うことが急務です。


■ 行政の姿勢――「言われてから」では遅い

千葉労働局は、7年度の行政運営方針で「外国人労働者を使用する事業場への監督指導を強化」すると明言しました。
特に、労働局や監督署に法違反の情報が寄せられた場合、外国人労働者を使用している事業場は必ず監督対象に組み込むとしています。

この運用は、国内外に向けて「日本は人権を軽視する企業を放置しない」というメッセージを発しているとも言えます。
つまり、BHR(ビジネスと人権)の観点からも、行政が“人権リスクへの監督強化”を国家方針として打ち出したわけです。


■ BHR推進社労士として伝えたいこと

現場で感じるのは、「指摘されたからやる」「罰則が怖いから直す」という受け身の姿勢がまだ根強いことです。
しかし、これからの時代に求められるのは、「言われてからやる」ではなく、「言われる前にやる」企業です。

○出来ない理由を並べる前に、「必ず良い職場にする」と宣言する。
○出来るか出来ないかではなく、「やるかやらないか」。
○そして、「やる」と決めた企業こそが、信頼される。

人権を守る経営とは、誰かに命じられて動くことではありません。
自らの意思で「安全で尊厳ある職場」をつくると決めること。
それが、真の意味でのBHR実践であり、これからの日本企業が国際社会で評価される鍵になるのです。


【まとめ】

○建設業における技能実習生の法令違反率は93.6%。

○背景には人手不足と安全衛生活動の軽視。

○監理団体の監査機能の実効性にも疑問。

○行政は「外国人労働者を使う事業場の監督強化」を明言。

○BHRの原点は「人を守る企業文化」づくりにある。

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