【2025年最新】人権方針を策定している中小企業は9.1% BHR推進社労士の視点(2025/11/1)
――人権対応は“コスト”ではなく“人材投資”だ――
(出典:フォーバル GDXリサーチ研究所「2025年度第1回 中小企業経営実態調査」)
■ 8割が「重要」と回答、それでも人権方針の策定率はわずか9.1%
フォーバル GDXリサーチ研究所(本社:東京都渋谷区)は、全国の中小企業を対象に「2025年度第1回 中小企業経営実態調査」を実施しました(調査期間:2025年7月8日~8月8日、有効回答:932社)。
その結果、「ビジネスと人権」を経営上の重要課題だと考える企業は 81.4% に上った一方で、人権を尊重する方針を策定している企業はわずか
9.1% にとどまりました。
多くの企業が重要性を理解しながらも、「専門知識を持つ人材がいない」(36.6%)、「他の経営課題が優先されている」(34.6%)といった理由から、制度整備が後回しになっている実態が明らかです。
つまり、“わかっているけれど動けていない”――この「ギャップ」こそが、中小企業の人権対応における最大の課題といえます。
■ 人権対応がもたらす実際の効果:「社員の満足度・定着率が向上した」が56.8%
注目すべきは、人権への取り組みを実施した企業の 半数以上(56.8%)
が「社員の満足度や定着率が向上した」と回答している点です。
次いで「リスクの低減」(37.1%)、「取引先・顧客からの信頼向上」(21.5%)と続きます。
さらに、「人権への取り組みはコストに見合っている」と答えた企業は48.5%。
つまり、人権方針の策定や職場環境の改善は、単なるコンプライアンス対応ではなく、人材の定着と企業価値向上を両立させる経営施策として効果を発揮しているのです。
■ “制度がない”ことがリスクになる時代へ
2024年にEUで「企業持続可能性デュー・ディリジェンス指令(CSDDD)」が施行され、日本企業も国際取引の中で人権対応を求められる時代になりました。
加えて、ESG投資や人的資本開示の潮流が加速する中で、企業の人権方針は“将来的に避けて通れない”テーマです。
しかし、調査では「何から始めればよいか分からない」(27.2%)という声も多く、外部の専門知見を得ながら進める必要が明確になりました。
経営層がその意義を理解し、社外専門家(BHR推進社労士やBHR弁護士、BHRコンサルタント)との協働によって制度構築を進めることが、最初の一歩となります。
■ BHR(ビジネスと人権)推進社労士からの提言
人権対応は「義務」ではなく「投資」です。
方針を策定し、職場の人権課題を見える化することは、社員のモチベーションを高め、離職を防ぎ、採用競争力を高める――つまり経営の安定につながります。
フォーバル GDXリサーチ研究所の調査結果は、その効果を裏付ける重要なエビデンスです。
今後は、経営層が“人権方針の策定=経営戦略の一部”と捉え、社内で共有することが求められます。
■ 情報出典
フォーバル GDXリサーチ研究所
「2025年度第1回 中小企業経営実態調査」
(2025年10月2日公表)
【まとめ】
- 「ビジネスと人権」は8割が“重要”と認識
- しかし実際に方針を策定しているのは9.1%
- 人権対応を進めた企業の56.8%が「満足度・定着率の向上」を実感
- 人権対応は“コスト”ではなく“人材投資”である
- 経営層の理解と外部専門家の連携が成功の鍵
💬 BHR推進社労士
烏脇直俊
人権方針は、企業の「約束」です。社員の権利を守ることは、企業の未来を守ることでもあります。
中小企業こそ“人権経営”を自社の強みに変えていく時代です。
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