【第3号被保険者制度の廃止を提言】年金制度改革で日商が問題提起 「年収の壁」の本質とは(2024/12/9)
本文
日本商工会議所は、政府に対して年金制度改革に関する提言を提出し、
第3号被保険者制度の廃止を求めました。
同制度の廃止を明確に提言するのは今回が初めてであり、
議論の転換点となる可能性があります。
■「第3号被保険者制度」とは何か
第3号被保険者制度は、主に専業主婦などを対象に、
- 厚生年金加入者の配偶者であれば
- 自身で保険料を負担しなくても
- 国民年金(基礎年金)を受給できる
という仕組みです。
もともとは、専業主婦世帯が一般的だった時代に、
年金受給権を保障する目的で導入されました。
■「年収の壁」と制度の関係
日商は、この制度がいわゆる「年収の壁」問題の一因になっていると指摘しています。
具体的には、
- 一定の年収を超えると第3号から外れる
- 社会保険料の負担が発生する
その結果、
👉 「あえて働き方を抑える」
という行動が生まれやすくなります。
これは、単なる個人の選択ではなく、
制度設計が労働供給を歪めている構造的問題とも言えます。
■共働き社会とのズレ
制度導入から約40年が経過し、社会構造は大きく変化しました。
現在では、
- 共働きが一般化
- 女性の就業率の上昇
- 多様な働き方の拡大
といった状況にあります。
その中で第3号制度は、
- 非就業の誘因
- 低収入就業の固定化
といった側面を持つ可能性があると指摘されています。
■廃止は「10~20年」の長期移行が前提
日商は、制度の急激な廃止ではなく、
👉 10~20年程度の移行期間
を設けるべきとしています。
理由は明確で、
- 制度を前提に人生設計してきた人がいる
- 急な変更は生活への影響が大きい
ためです。
その上で、
👉 「今から国民的合意を形成すべき」
と提言しています。
■現場感覚としての違和感
第3号被保険者制度は、
「共働きが当たり前の現在」では通用しないと感じます。
この違和感は、多くの現場でも共有されているのではないでしょうか。
制度としては合理性があった時代も確かに存在します。
しかし現在では、
- 働く人を増やしたい政策
と - 働き方を抑制する制度
が同時に存在するという、ねじれが生じています。
■BHR視点からの補足
この問題は、単なる年金制度の話にとどまりません。
- 就業機会への影響
- 間接的な性別役割分担の固定化
といった観点から見ると、
構造的な公平性(equity)の問題とも捉えられます。
ただし、日本の制度は歴史的経緯を強く受けているため、
単純な善悪で語るべきものではなく、
👉 「どう移行するか」
が本質的な論点になります。
■まとめ
- 日商が第3号被保険者制度の廃止を初提言
- 「年収の壁」の構造的要因と指摘
- 共働き社会との制度的不整合が顕在化
- 10~20年の移行期間を前提に議論へ
制度の是非だけでなく、
現実に即した再設計が求められる局面に入ったと言えるでしょう。
■出典
本記事は、労働専門紙の報道を基に要約・再構成しています。
(出典:労働新聞)
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